Ligation sequencing DNA V14 (SQK-LSK114) [ライゲーションシークエンシングDNA V14 (SQK-LSK114) ]


概要

  • このプロトコールではゲノムDNAを使用します。
  • 調製時間は約60分です。
  • フラグメンテーションは任意としています。
  • PCR無し
  • R10.4.1フローセルとの互換性

研究用のみ

この翻訳は英語バージョン「X」をもとに翻訳されています。 新しいバージョンが出ている可能性があるので、この翻訳を使用する前にコミュニティーで今の英語のバージョンをご確認ください。

Document version: GDE_9161_v114_revX_13Dec2024

1. プロトコールの概要

ヒント

Ligation Sequencing Kit V14 (SQK-LSK114) プロトコルの紹介

このプロトコールは、Ligation Sequencing Kit V14 (SQK-LSK114)を用いたDNAサンプルのシークエンスを行う方法を説明します。この技術に慣れるために、最初にLambdaコントロール実験を行うことを推奨します。

シーケンシングワークフローにおける手順:

実験の準備

実験の前に以下の準備が必要です。

  • DNAを抽出し、その長さ、量と純度を確認します。 プロトコル中に実行される品質チェックは実験を成功させるために不可欠です。
  • シークエンスキット、適切な装置、およびサードパーティ製試薬が全て揃っていることを確認してください。
  • データの取得、および分析するためのソフトウェアをダウンロードしてください。
  • フローセルをチェックし、シークエンシングを良好に行うために十分なポアがあることを確認してください。

ライブラリー調製

次の表は、ライブラリー調製手順の概要を示しています。また、オプションで操作を中断できるポイントも示しています。

ライブラリー調製 プロセス 時間 停止可能なタイミング(オプション)
DNA修復、およびエンドプレップ DNAを修復し、DNA末端をアダプターに接続する準備をします。 35分 4 ° Cで一晩保存
アダプターのライゲーションとクリーンアップ DNA末端にシークエンスアダプターを取り付けます。 20分 ライブラリーを調製したら、すぐにシークエンスすることを強くお勧めします。

短期間の保管や、フローセルへの再装填など繰り返し使用する場合は、4℃で保管できます。

長期保存、1回使用の場合は-80℃で保存してください。
フローセルのプライミングとローディング フローセルをプライミングし、調製したライブラリーをシークエンス用にロードします 5分

LSK114 workflow_JP

シークエンシングと解析

実験の事前に以下の手順を行うことが必要です。

  • MinKNOWソフトウェアを使用してシークエンスランを開始します。このソフトウェアはデバイスから生データを収集し、リードをベースコールします。
  • EPI2MEソフトウェアを起動し、バイオインフォマティクスワークフローを選択してデータを分析します。
重要

プロトコルの互換性

このプロトコルは、以下のものと組み合わせて使用する必要があります。

2. 機器と消耗品

材料
  • 1 µ g(または100 ~ 200 fmol)高分子ゲノムDNA
  • または、DNA断片化を行う場合は100 ng以上の高分子ゲノムDNA
  • Ligation Sequencing Kit V14 (SQK-LSK114)

消耗品
  • PromethION Flow Cell
  • Qubit dsDNA HS Assay Kit (Invitrogen, Q32851)
  • NEBNext® Companion Module v2、Oxford Nanopore Technologies® Ligation Sequencing用 (NEB, E7672S or E7672L)
  • ヌクレアーゼフリー水で用事調整した 80% エタノール溶液
  • Nuclease-free water (e.g. ThermoFisher, AM9937)
  • 1.5 ml Eppendorf DNA LoBind tubes
  • 0.2 ml 薄壁のPCRチューブ
  • Qubit™ Assay Tubes (Invitrogen, Q32856)

装置
  • PromethION device
  • PromethION Flow Cell Light Shield
  • Hula mixer(緩やかに回転するミキサー)
  • 1.5 mlエッペンドルフチューブに最適のマグネット式ラック
  • 小型遠心機
  • ボルテックスミキサー
  • サーマルサイクラー
  • P1000 ピペット及びチップ
  • P200 ピペットとチップ
  • P100 ピペットとチップ
  • P20 ピペットとチップ
  • P10 ピペットとチップ
  • P2 ピペットとチップ
  • アイスバケツ(氷入り)
  • タイマー
  • Qubit蛍光光度計(またはQCチェックのための同等品)

DNAサンプルの長さに応じて、サンプル使用量を調整してください

DNAライブラリー断片長 サンプルDNA量
非常に短い (<1 kb) 200 fmol
短い (1-10 kb) 100–200 fmol
長い(>10 kb) 1 µg

ライゲーションシークエンスプロトコルのサンプル使用量とフローセルへのロード量の詳細については、our know-how documentをご覧ください。

インプットDNA

インプットDNAのQC方法

インプットDNAの量と品質の要件を満たすことが重要です。DNAの使用量が少なすぎたり多すぎたり、あるいは品質の低いDNA(例としてDNAが非常に断片化されていたり、RNAや化学汚染物質が含まれている場合など)を使用すると、ライブラリーの調製に影響を及ぼす可能性があります。

DNAサンプルの品質管理の方法については、Input DNA/RNA QC protocolのプロトコルをご覧ください。

コンタミネーション

DNAの抽出する方法によっては、精製DNAに特定の化学汚染物質が残留する可能性があり、ライブラリ調製の効率やシークエンシングの品質に影響を及ぼす可能性があります。コンタミネーションについての詳細は、コミュニティーの Contaminants page をご覧ください。

Oxford Nanopore Technologies® Ligation Sequencing用のNEBNext® Companion Module v2

NEBNext® Companion Module v2 for Oxford Nanopore Technologies® Ligation Sequencing (catalogue number E7672S or E7672L), を購入されることをお勧めします。この商品にはLigation Sequencing Kitで使用するために必要なすべてのNEB試薬が含まれています。

旧バージョンのNEBNext® Companion Module for Oxford Nanopore Technologies® Ligation Sequencing (NEB, E7180S or E7180L)と互換性がありますが、新しい「モジュールv2」では、FFPEv2 DNA Repair BufferとSalt-T4 DNA Ligaseにより、より効率的なdA-tailingとligationが可能になりました。v2モジュールを使用すると、サンプルあたりのコストを削減できます。

(注: アンプリコンのプロトコールについては、NEBNext FFPE DNA Repair Mixをお買い求めいただくことも可能ですが、試薬を別途でお買い求めいただく方がコスト的に有利です。

サードパーティー試薬

このプロトコールで使用されているすべてのサードパーティー試薬は、当社が検証し、使用を推奨しているものです。Oxford Nanopore Technologiesでは、それ以外の試薬を用いたテストは行っていません。

すべてのサードパーティ製試薬については、製造元の指示に従って使用の準備をすることをお勧めします。

フローセルのチェックをしてください

シークエンシング実験を開始する前に、フローセルのポアの数を確認することを強くお勧めします。このフローセルの確認は、MinION/GridION/PromethIONの場合は代理店への到着から12週間以内に行ってください。またはFlongle Flow Cellの場合は代理店への到着から4週間以内に行う必要があります。Oxford Nanopore Technologiesは、フローセルチェックの実施から2日以内に結果が報告され、推奨される保管方法に従っていた場合に、以下の表に記載されているナノポアの有効数に満たさない場合には、フローセルを交換します。 フローセルのチェックを行うには、Flow Cell Check documentの指示に従ってください。

Flow cell 保証する最小有効ポア数(以下の数未満のフローセルが交換対象となります)
Flongle Flow Cell 50
MinION/GridION Flow Cell 800
PromethION Flow Cell 5000
重要

ライゲーションアダプター(LA)のライゲーション効率を高めるため、NEBNext Quick Ligation Module に付属しているリガーゼバッファーではなく、Ligation Sequencing Kit V14 に付属のライゲーションバッファー(LNB)のご使用を強くお勧めします。

重要

本キットおよびプロトコールに含まれるライゲーションアダプター(LA)は、他のシークエンシングアダプターとの互換性はありません。

Ligation Sequencing Kit V14 (SQK-LSK114) のコンテンツ

(注: 現在のキットの容器を変更しています。今までは実験毎に使い捨てのシングルユーズチューブを使用していましたが、バッファー単位のボトル容器に変更しています。

シングルユースチューブの場合: SQK-LSK114 v2

ボトル容器の場合: SQK-LSK114 v3

(注: 本製品には、Beckman Coulter、Inc.製のAMPure XP試薬が含まれており、試薬の安定性を損なうことなくキットと共に-20 ° Cで保存することができます。

(注: DNA Control Sample(DCS)は3.6kbのアンプリコンで、Lambda genomeの3'末端をマッピングしたプレップコントロールです。

3. DNA修復およびエンドプレップ

材料
  • 1 µg (又は100-200 fmol) のgDNA
  • DNA Control Sample (DCS)
  • AMPure XP Beads (AXP)

消耗品
  • NEBNext® FFPE DNA Repair Mix (M6630) from the NEBNext® Companion Module v2 (NEB, E7672S or E7672L)
  • NEBNext® FFPE DNA Repair Buffer v2 (E7363) from the NEBNext® Companion Module v2 (NEB, E7672S or E7672L)
  • NEBNext® Ultra II End Prep Enzyme Mix (E7646) from the NEBNext® Companion Module v2 (NEB, E7672S or E7672L)
  • Qubit dsDNA HS Assay Kit (Invitrogen, Q32851)
  • Nuclease-free water (e.g. ThermoFisher, AM9937)
  • ヌクレアーゼフリー水で用事調整した 80% エタノール溶液
  • Qubit™ Assay Tubes (Invitrogen, Q32856)
  • 0.2 ml 薄壁のPCRチューブ
  • 1.5 ml Eppendorf DNA LoBind tubes

装置
  • P1000 ピペット及びチップ
  • P100 ピペットとチップ
  • P10 ピペットとチップ
  • 小型遠心機
  • サーマルサイクラー
  • Hula mixer(緩やかに回転するミキサー)
  • マグネットラック
  • アイスバケツ(氷入り)
オプション装置
  • Qubit蛍光光度計(またはQCチェックのための同等品)
ヒント

NEB試薬がすべて含まれていまれている Oxford Nanopore Technologies® Ligation Sequencing (catalogue number E7672Sまたは、 E7672L)用のNEBNext® Companion Module v2)を使用する事をお勧めします。

旧バージョンのNEBNext® Companion Module for Oxford Nanopore Technologies® Ligation Sequencing (NEB, E7180S or E7180L)も使用可能です。しかし、上記で推奨したv2モジュールを使用する事でより効率的なdA-tailingとligationを提供できます。

CHECKPOINT

フローセルのチェックを行ってください。

ライブラリー調製を開始する前にフローセルチェックを行い、良好なシークエンスランに十分なポアを持つフローセルを使用することをお勧めします。

詳細については、MinKNOWプロトコルのflow cell check instructions を参照してください。

DNA Control Sample(DCS)を室温で融解し、スピンダウンしてピペッティングで混合し、氷上に置きます。

ヒント

トラブルシューティングの為、DNAコントロールサンプル(DCS)を自身のライブラリーに添加して、プレップコントロール用に使用することを推奨します。ただし、このステップを省略して、1 µlをサンプルDNAで補うこともできます。

NEB試薬を製造元の指示に従って調製し、氷上に置きます。

最適なパフォーマンスを得るために、NEBは以下を推奨しています。

  1. すべての試薬を氷上で解凍します。

  2. 試薬チューブをタッピングや転倒混和にてよく混ぜてください。
    (注: FFPE DNA Repair MixまたはUltra II End Prep Enzyme Mixをボルテックスしないでください。

  3. 毎日、初めて開封する前に、必ずチューブをスピンダウンしてください。

  4. FFPE DNA Repair Buffer v2、または NEBNext FFPE DNA Repair Buffer と Ultra II End Prep Reaction Buffer をボルテックスし、よく混合してください。
    (注: これらのバッファーは白色の沈殿を含むことがあります。このような場合には混合物を室温で戻し、バッファー液を数回上下にピペットで沈殿物を分解してください。その後、素早くチューブをボルテックスして混合させてください。

  5. FFPE DNA Repair Bufferは黄色味を帯びることがありますが、問題はありません。

ヌクレアーゼを含まない水でDNAを調製します

  1. 1μg(または100~200fmol)のインプットDNAを1.5mlのエッペンドルフDNA LoBindチューブに移し替えます。

  2. ヌクレアーゼフリーの水と合計で47 μ lの容量に調製します。

  3. 上下にピペッティングをするか、チューブをタッピングする方法で十分に混ぜてください。

  4. 小型遠心機を使って、短時間スピンダウンしてください。

0.2 ml 薄壁PCRチューブに以下を混合してください。

それぞれの添加の間に、10~20回ピペッティングして混ぜてください。

試薬
前ステップのDNA 47 µl
DNA CS(オプション) 1 µl
NEBNext FFPE DNA Repair Buffer v2 7 µl
NEBNext FFPE DNA Repair Mix 2 µl
Ultra II End-prep Enzyme Mix 3 µl
合計 60 µl

反応液を完全に混合するために、ゆっくりとピペッティングし短時間スピンダウンして下さい。

サーマルサイクラーを使用して、初めに20℃で5分間インキュベートした後に、65℃で5分間インキュベートしてください。

AMPure XP ビーズ(AXP)をボルテックスで懸濁します。

DNA サンプルを清潔な 1.5 ml エッペンドルフ DNA LoBind チューブに移してください。

再懸濁したAMPure XP Beads (AXP) 60 µlをエンドプレップ反応に加え、チューブをフリッ クして混和します。

Hula mixer(緩やかに回転するミキサー)で5分間インキュベートします(常温)。

新鮮な80%エタノールをヌクレアーゼフリー水で500μl用意します。

チューブをスピンダウンした後、マグネットラック上で、上清が無色透明になるまで置きます。チューブを磁石の上に置いたまま、上清をピペットで取り除いていきます。ピペットを使用してエタノールを除去し 、 廃棄してください。

チューブをマグネットの上に置き、ペレットを乱さないように、200 µl の新しく調製した 80% エタノールでビーズを洗浄します。

前のステップを繰り返します。

スピンダウンし、チューブをマグネットの上に戻します。残ったエタノールをピペットで取り除きます。ペレットを30 秒間程乾かします。 ただし、 ペレットにひびが入るまでは乾燥させないでください。

チューブをマグネットラックから取り出し、ペレットを61μlのヌクレアーゼフリー 水に懸濁します。室温で2分間インキュベートします。

溶出液が無色透明になるまで、少なくとも1分間マグネット上でビーズをペレット化します。

61μlの溶出液を除去し、清潔な1.5mlエッペンドルフDNA LoBindチューブに保持します。

CHECKPOINT

Qubit蛍光光度計を使用して、溶出したサンプル1 µlを定量します。

最終ステップ

エンドプレップと修復されたDNAをアダプターライゲーションのステップに進めます。なお、この時点でサンプルを4℃で一晩保存することも可能です。

4. アダプターのライゲーションとクリーンアップ

材料
  • Ligation Adapter (LA)
  • Ligation Buffer (LNB)
  • Long Fragment Buffer (LFB)
  • Short Fragment Buffer (SFB)
  • AMPure XP Beads (AXP)
  • Elution Buffer (EB)

消耗品
  • Salt-T4® DNA Ligase (NEB, M0467)
  • NEBNext Quick Ligation Module (NEB, E6056)
  • 1.5 ml Eppendorf DNA LoBind tubes
  • Qubit™ Assay Tubes (Invitrogen, Q32856)

装置
  • マグネットラック
  • 小型遠心機
  • ボルテックスミキサー
  • P1000 ピペット及びチップ
  • P100 ピペットとチップ
  • P20 ピペットとチップ
  • P10 ピペットとチップ
  • Qubit蛍光光度計(またはQCチェックのための同等品)
ヒント

Salt-T4® DNA Ligase (NEB, M0467) の使用を推奨します。

Salt-T4® DNA Ligase(NEB, M0467)は別途購入するか、Oxford Nanopore Technologies® Ligation Sequencing用のNEBNext® Companion Module v2(カタログ番号E7672SまたはE7672L)に含まれています。

旧バージョンのNEBNext® Companion Module for Oxford Nanopore Technologies® Ligation Sequencing (NEB, E7180S or E7180L)も使用することが出来ます。しかし、上記で推奨したv2モジュールを使用する事でより効率的なdA-tailingとligationを提供することが出来ます。

重要

推奨の他社製リガーゼ(ligase)には専用のバッファーが付属していますが、Ligation Sequencing Kitに付属のLigation Buffer (LNB)を使用した方が、Ligation Adapter (LA)のライゲーション効率が高くなります。

Ligation Adapter (LA) とSalt-T4® DNA Ligaseをスピンダウンし、氷上に置きます。

ライゲーションバッファー(LNB)を室温で融解し、スピンダウンしてピペッティングで混合します。粘性が高い為、この緩衝液をボルテックスするのは効果的ではないです。解凍して混ぜたら、すぐに氷の上に置いてください。

溶出バッファー(EB)を室温で融解し、ボルテックスで混合します。その後、スピンダウンして氷の上に置きます。

重要

使用するウォッシュバッファー(LFBまたはSFB)に応じて、アダプターライゲーション後のクリーンアップステップは、3 kb以上のDNAの断片を濃縮するか、全ての断片長を均等に精製するように設計されています。

  • 3kb以上のDNA断片を濃縮するには、Long Fragment Buffer (LFB)を使用してください。
  • 一方であらゆるサイズの DNA 断片を保持するには、Short Fragment Buffer (SFB) を使用してください。

Long Fragment Buffer(LFB)または Short Fragment Buffer(SFB)のいずれかを室温で解凍し、ボルテックスで混合します。その後、スピンダウンして氷の上に置きます。

1.5mlのエッペンドルフDNA LoBindチューブに、以下の順序で混合してください。

それぞれの添加の間に、10~20回ピペッティングして混ぜてください。

試薬
前ステップのDNA 60 µl
Ligation Adapter (LA) 5 µl
Ligation Buffer (LNB) 25 µl
Salt-T4® DNA Ligase 10 µl
合計 100 µl

反応液を完全に混合するために、ゆっくりとピペッティングし短時間スピンダウンして下さい。

反応液を室温で10分間インキュベートします。

AMPure XP ビーズ(AXP)をボルテックスで懸濁します。

再懸濁したAMPure XP Beads (AXP) 40 µlを加え、チューブをフリッ クして混和します。

Hula mixer(緩やかに回転するミキサー)で5分間インキュベートします(常温)。

サンプルをスピンダウンし、マグネット上でペレット化します。チューブをマグネットの上に置き、無色透明になったら上清をピペットで取り除きます。

Long Fragment Buffer(LFB)250 μl、または Short Fragment Buffer(SFB)250 μl を加えてビーズをウオッシュします。タッピングしてビーズを再懸濁させ、スピンダウンします。チューブをマグネットラックに戻し、ビーズをペレット化させます。ピペットで上清を取り除き、廃棄します。

前のステップを繰り返します。

スピンダウンし、チューブをマグネットの上に戻します。残った上清をピペットで取り除きます。ペレットを30 秒間程乾かします。 ただし、 ペレットにひびが入るまでは乾燥させないでください。

チューブをマグネットラックから取り出し、ペレットを 25 µl Elution Buffer (EB)に懸濁します。スピンダウンし、室温で10分間インキュベートします。高分子DNAの場合は、37℃でインキュベートすると、長い断片の回収率が向上します。

溶出液が無色透明になるまで、少なくとも1分間マグネット上でビーズをペレット化します。

DNA ライブラリーを含む溶出液 25 µl を取り出し、1.5 ml エッペンドルフ DNA LoBind チューブに入れます。

Dispose of the pelleted beads

CHECKPOINT

Qubit蛍光光度計を使用して、溶出したサンプル1 µlを定量します。

DNA ライブラリーの断片サイズに応じて、最終ライブラリーを 32 µl のElution Buffer(EB)で調製します。

フラグメントライブラリーの長さ フローセルへのロード量
非常に短い(<1 kb) 100 fmol
短い (1-10 kb) 35–50 fmol
長い (>10 kb) 300 ng

注): ライブラリーの収量が推奨入力値以下の場合は、ライブラリー全体をロードしてください。

必要であれば、mass-to-mol計算機 NEB calculatorの使用をお勧めします。

最終ステップ

調製されたライブラリーは、フローセルへのロードに使用されます。ライブラリーは、ロードの準備ができるまで氷上、または4℃で保存して下さい。

ヒント

推奨のライブラリー保存方法

短期間の保存や繰り返し使用する場合は__(例 フローセルをウオッシュして再度ロードする場合)は、ライブラリーをEppendorf DNA LoBindチューブに入れ、__4℃で保存 することをお勧めします。 __3か月以上の長期保存の場合は、____ライブラリーをEppendorf DNA LoBindチューブに -80 ° Cで保存 することをお勧めします。

5. PromethIONフローセルのプライミングとローディング

材料
  • Sequencing Buffer (SB)
  • Library Beads (LIB)
  • Library Solution (LIS)
  • Flow Cell Tether (FCT)
  • Flow Cell Flush (FCF)

消耗品
  • PromethION Flow Cell
  • 1.5 ml Eppendorf DNA LoBind tubes

装置
  • PromethION device
  • PromethION Flow Cell Light Shield
  • P1000 pipette and tips
  • P200 pipette and tips
  • P20 pipette and tips
重要

This kit is only compatible with R10.4.1 flow cells (FLO-PRO114M).

Sequencing Buffer(SB)、Library Beads(LIB)またはLibrary Solution(LISを使用する場合のみ)、Flow Cell Tether(FCT)およびFlow Cell Flush(FCF)を室温で融解してから、ボルテックスで混合します。その後、スピンダウンして氷上で保存します。

フローセルプライミングミックスを調製するには、フローセルテザー(FCT)とフローセルフラッシュ(FCF)を以下の指示通りに混合してください。その後に、室温でボルテックスして混合してください。

注) 現在、使い捨てチューブを使用したキットをボトル型にフォーマット変更中です。ご使用のキットのフォーマットに従ってください。

シングルユースチューブの場合: 30μlのFlow Cell Tether(FCT)をFlow Cell Flush(FCF)チューブに直接加えてください。

ボトルフォーマットの場合: フローセルの数に適したチューブに、以下の試薬を入れてくださいs:

試薬 フローセルあたりの容量
Flow Cell Flush (FCF) 1,170 µl
Flow Cell Tether (FCT) 30 µl
合計 1,200 µl
重要

冷蔵庫からフローセルを取り出した後にフローセルが室温に戻るまで20分待ってからPromethIONに差し込んでください。湿度の高い環境ではフローセルに結露が生じることがあります。フローセルの上面と下面にある金色のコネクターピンに結露がないかを点検し、結露が確認された場合はリントフリーのウェットティッシュで拭き取ってください。フローセル下面にヒートパッド(黒いパッド)があることを確認してください。

PromethION 2 Soloの場合、フローセルは以下のようにセットします

  1. フローセルを金属プレートの上に平らに置きます。

  2. フローセルを、金色のピンまたは緑色の基板が見えなくなるまでドッキングポートにスライドさせます。

J2068 FC-into-P2-animation V5

PromethION 24/48 の場合は、フローセルをドッキングポートにセットします

  1. フローセルとコネクターを水平および垂直に並べてから、所定の位置にスムーズに挿入してください。
  2. フローセルをしっかりと押し下げ、ラッチがかみ合い、カチッと音がして所定の位置に収まることを確認します。

Step 1a V3

Step 1B

重要

フローセルを誤った角度で挿入すると、PromethIONのピンが損傷し、シーケンス結果に影響を及ぼす可能性があります。PromethIONのピンが損傷している場合は、support@nanoporetech.com までご連絡ください。

Screenshot 2021-04-08 at 12.08.37

インレットポートカバーを時計回りにスライドさせて開きます。

Prom loading 2

重要

フローセルからバッファーを引き上げる際には注意してください。20~30μl以上は除去せず、ポアのアレイ全体が常にバッファーで覆われていることを確認して下さい。アレイに気泡が入ると、ポアに不可逆的なダメージを与える可能性があります。

インレットポートを開けた後、少量ずつ引き戻して気泡を取り除きます:

  1. P1000ピペットチップを200µlにセットします。
  2. チップをインレットポートに挿入します。
  3. ダイヤルが220~230µlを示すまで、またはピペットチップに少量のバッファ ーが入るのが確認できるまで、ホイールを回します。

Step 3 v1

気泡が入らないように、500 µl のプライミングミックスをインレットポートからフローセルに注入し、5分間待ちます。この間に、プロトコールの次のステップでライブラリーをロードする準備をしてください。

Step 4 v1

Library Beads(LIB)の液をピペッティングすることで十分に混合して下さい。

重要

Library Beads(LIB)チューブにはビーズの懸濁液が入っています。これらのビーズはすぐに沈殿するので、使用直前に混合することが重要です。

ほとんどのシーケンス実験にはLibrary Beads (LIB)の使用を推奨します。しかし、より粘性の高いライブラリーにはLibrary Solution(LIS)を使ってください。

新しい1.5mlのEppendorf DNA LoBindチューブに、以下のようにしてライブラリーをロードする準備をしてください

試薬 フローセルあたりの容量
Sequencing Buffer (SB) 100 µl
Library Beads (LIB) thoroughly mixed before use, or Library Solution (LIS) 68 µl
DNA library 32 µl
合計 200 µl

注) アレイカバレッジを向上させるため、ライブラリーのローディング量を増やしました。

500μlのプライミングミックスをインレットポートにゆっくりと注入し、フローセルのプライミングを完了します。

Step 5 v1

調製したライブラリーは、ロードする直前にピペッティング混合して下さい。

P1000ピペットを使用して、インレットポートに200µlのライブラリーを注入します。

Step 6 v1

インレットポートを密閉するためにバルブを閉じます。

Step 7 V2

重要

最適なシークエンス出力を得るために、ライブラリーがロードされたすぐにライトシールドをフローセルに取り付けてください。

ライブラリーがフローセル上にある状態では(ウォッシングやリロードのステップを含める)、フローセルにライトシールドを付けたままにしておくことを推奨します。ライトシールドは、ライブラリーがフローセルから除去された時点で取り外すことができます。

ライトシールドがフローセルから取り外されている場合は、以下のようにライトシールドを取り付けます

  1. ライトシールドとインレットポートをフローセルのインレットポートカバーに合わせます。ライトシールドの前縁をフローセルIDの上に位置するようにします。
  2. ライトシールドをインレットポートカバーの周囲にしっかりと押し付けます。インレットポートクリップがインレットポートカバーの下にカチッとはまるようになっています。

J2264 - Light shield animation PromethION Flow Cell 8a FAW

J2264 - Light shield animation PromethION Flow Cell 8b FAW

最終ステップ

MinKNOWでシーケンスランを開始する準備ができたら、PromethIONの蓋を閉めてください。

フローセルをPromethIONにロードした後、実験を開始する前に最低10分間待ちます。この待ち時間があることで、よりシーケンス出力が向上します。

6. データ収集とベースコール

シークエンスの始め方

フローセルをロードしたら、MinKNOWでシーケンスランを開始します。MinKNOWは、デバイス、データ収集、リアルタイムベースコールを制御するシーケンスソフトウェアです。MinKNOWのセットアップと使用に関する詳細情報は、[MinKNOWプロトコル] MinKNOW protocolをご覧ください。

MinKNOWは、複数の方法でシーケンスに使用し、設定することができます:

  • シーケンシングデバイスに直接またはリモートで接続されたコンピューター
  • GridIONまたはPromethION 24/48シーケンス装置上

シーケンシングデバイス上でのMinKNOWの使用に関する詳細は、デバイスのユーザーマニュアルをご覧ください:


MinKNOWでシーケンスランを開始するには:

1. スタートページに移動し、_Start sequencing. をクリックしてください。

2. 名前、フローセルの位置、サンプルIDなど、実験の詳細を入力する。

3. Kitページで sequencing kit used in the library preparation を選択する。

4. Run configurationタブで、シーケンスラン用のシーケンスパラメータと出力パラメータを設定するか、デフォルト設定のままにする。

注): シーケンスランのセットアップ時にベースコールがオフになっている場合、ベースコールはMinKNOWでポストランに実行できます。詳細については、[MinKNOWプロトコル] MinKNOW protocol を参照してください。

5. Start をクリックしてシーケンスランを開始します。

デュプレックスベースコール

Kit 14chemistryはデュプレックスベースコールを改良しました。デュプレックスベースコールデータは、MinKNOWでシンプレックスベースコールを行った後に、 Dorado で再ベースコールを行うことで得られます。

シンプレックスおよび、デュプレックスのベースコールに関するシークエスランのセットアップの詳細については、Kit 14 sequencing and duplex basecalling とデュプレックスベースコールの情報シートをご覧ください.

(注: Doradoを使用する場合、メモリを最大限Doradoで使用するために、他のベースコールを停止することを推奨しています。ベースコールはDoradoが終了すればMinKNOWのGUIで停止や再開することができます。

シークエンシング後のデータ解析

MinKNOWでシークエンスが終わると、フローセルを再利用または返却ができます。詳しくは、フローセルの再利用と返却のセクションをご覧ください。

シークエンシングとベースコールの後にはデータを解析することができます。 ベースコールおよびベースコール後の解析オプションの詳細については、Data Analysis を参照してください。

ダウンストリーム解析セクションでは、データを解析するためのオプションの概要を説明しています。

7. フローセルの再利用と返却

材料
  • Flow Cell Wash Kit (EXP-WSH004)

シークエンス実験終了後、フローセルを再利用する場合は、Flow Cell Wash Kitのプロトコールに従い、洗浄したフローセルを2~8℃で保管してください。

Flow Cell Wash Kit protocolは、Nanoporeコミュニティーで入手できます。

ヒント

運転を停止したらできるだけ早くフローセルをウォッシュすることをお勧めします。しかし、これが不可能な場合はフローセルをデバイスに入れたまま、翌日にウォッシュをして下さい。

または、返送手順に従って、オックスフォード・ナノポアに返送してください。

フローセルの返却方法は hereをご覧ください。

(注: 製品を返却する前に、すべてのフローセルを脱イオン水で洗浄する必要があります。

重要

シークエンシング実験に関して問題が発生した場合や質問がある場合には、このプロトコルのオンライン版にあるトラブルシューティングガイドを参照してください。

8. ダウンストリーム解析

ベースコール後の分析

ベースコールされたデータをさらに解析するには、いくつかの方法があります。

1. EPI2ME workflows

詳細なデータ解析のために、オックスフォード・ナノポア・テクノロジーズは、EPI2MEで利用可能な様々なバイオインフォマティクスのチュートリアルとワークフローを提供しています。このプラットフォームでは、研究チームとアプリケーションチームがGitHubに保存しているワークフローを記載しています。このプラットフォーム内にはバイオインフォマティクスのコードと説明をしているコメント、およびサンプルデータを使ってコードを試すことが出来ます。

2. 研究分析ツール

Oxford Nanopore Technologiesの研究部門では、Oxford Nanopore GitHub repositoryで多数の分析ツールを公開しています。これらのツールは上級ユーザー向けであり、ソフトウェアのインストールと実行方法の説明が含まれています。これらのツールは最低限のサポートしかしていません。

3. コミュニティーで開発されたツール

研究課題に適したデータ解析方法が上記のリソースのいずれにも記載されていない場合は、 resource centre を参照し、アプリケーションに適したバイオインフォマティクスツールを検索してください。 Nanoporeコミュニティーの多くのメンバーが、 ナノポアシークエンシングデータを解析するための独自のツールやパイプラインを開発しており、そのほとんどはGitHubで利用可能です。これらのツールはOxford Nanopore Technologiesではサポート対象外であり、最新のケミストリーやソフトウェア構成との互換性を保証するものではありませんのでご了承ください。

9. DNA/RNA抽出、およびライブラリ調製時の問題点

以下は、最もよく起こる問題のリストであり、いくつかの原因と解決策が提案されています。

Nanopore Community Support セクションにFAQをご用意しています。

ご提案された解決策を試しても問題が解決しない場合は、テクニカルサポートに電子メール (support@nanoporetech.com)または LiveChat in the Nanopore Communityでご連絡ください。

サンプルの品質が低い

問題点 この問題が生じた可能性のある原因 解決策とコメント
DNAの純度が低い(DNAのOD 260/280のナノドロップ測定値が1.8未満およびOD 260/230が2.0~2.2未満) DNA抽出で必要な純度が得られていない 夾雑物の影響は、 Contaminants に示されています。コンタミネーションをもたらさないために別の抽出方法extraction method をお試しください。.

追加のSPRIクリーンアップステップの実施を検討して下さい。
低いRNA インテグリティー(RNA Integrity Number: <9.5 RIN、またはrRNAバンドがゲル上でスメアになっている) 抽出中にRNAが分解された 別のRNA抽出方法 RNA extraction methodを試してください。RINの詳細については、 RNA Integrity Number の資料を参照してください。詳細については、 DNA/RNA Handling のページをご覧ください。
RNAのフラグメントが予想より短い 抽出中にRNAが分解された 別のRNA抽出方法 RNA extraction methodを試してください。 RINの詳細については、 RNA Integrity Number の資料を参照してください。詳細については、DNA/RNA Handling のページをご覧ください。

RNAを扱う際には、RNaseフリーの環境で作業し、実験器具もRNaseフリーにしておくことをお勧めします。

AMPureビーズクリーンアップ後のDNA回収率が低い

問題点 この問題が生じた可能性のある原因 解決策とコメント
低回収率 AMPureビーズとサンプルの比率が予想していたのよりも低いことによるDNAの損失 1. AMPureビーズはすぐに沈降するため、サンプルに添加する前によく再懸濁させてください。

2. AMPureビーズ対サンプル比が0.4:1未満の場合、どのようなサイズのDNA断片でもクリーンアップ中に失われます。
低回収率 DNA断片が予想よりも短い サンプルに対するAMPureビーズの比率が低いほど、短い断片に対する選択が厳しくなります。 アガロースゲル(または他のゲル電気泳動法)上でインプットDNAの長さを設定してから、使用するAMPureビーズの適切な量を計算してください。 SPRI cleanup
エンドプレップ後の収率が低い 洗浄ステップで使用したエタノール濃度が低い(70%未満)。 エタノールが70%未満の場合、DNAは洗浄中にビーズから溶出されます。必ず正しい濃度(%)のエタノールを使用してください。

10. シークエンス実行中の問題

以下は、最もよく起こる問題のリストであり、いくつかの原因と解決策が提案されています。

Nanopore Community Support セクションにFAQをご用意しています。

ご提案された解決策を試しても問題が解決しない場合は、テクニカルサポートに電子メール (support@nanoporetech.com)または LiveChat in the Nanopore Communityでご連絡ください。

シークエンス開始時のポアがフローセルチェック後よりも少ない場合

問題点 予想される原因 解決策とコメント
MinKNOWのフローセルチェックで確認されたポアの数より、シークエンシング開始時のポア数が少なく表示された。 ナノポアアレイに気泡が入ってしまった。 フローセルチェックをした後、フローセルをプライミングする前に、プライミングポート付近の気泡を取り除くことが必要です。 気泡を取り除かないと、気泡がナノポアアレイに移動し、空気に触れたたナノポアが不可逆的なダメージを負った可能性がある。これを防ぐための最適な方法が、 this videoで紹介されています。
MinKNOWのフローセルチェックで確認されたポアの数より、シークエンシング開始時のポア数が少なく表示された。 フローセルがデバイスに正しく挿入されていない。 シークエンスランを停止し、フローセルをシークエンス装置から取り出します。次に再度フローセルを挿入し、装置にしっかりと固定され、目標温度に達していることを確認します。GridIONやPromethIONの場合は別のフローセルの位置をお試しください。
MinKNOWのフローセルチェックで確認されたポアの数より、シークエンシング開始時のポア数が少なく表示された。 ライブラリー内の汚染物質がポアを失活させたり塞いだりしている。 フローセルチェックの際のポア数は、フローセル保存バッファー中のQC用のDNA分子を用いて計測されます。シークエンシングの開始時は、ライブラリ自体を使用してアクティブなポア数を推定します。このため、フローセルチェックとRun開始時のポア数は、約10%程度の変動が起こります。シークエンシング開始時に報告されたポアの数が大幅に減少している場合は、ライブラリー中の汚染物質がメンブレンを損傷していたり、ポアをブロックしている可能性があります。インプット材料の純度を向上させるために、別のDNA/RNA抽出または精製方法が必要となる場合があります。コンタミネーションの影響は、Contaminants Know-how pieceを参照にして下さい。夾雑物を除去するために別の抽出方法extraction method をお試しください。

MinKNOWのスクリプトに問題

問題点 この問題が生じた可能性のある原因 解決策とコメント
MinKNOW に 「Script failed」と表示されている"
コンピューターを再起動し、MinKNOWを再起動します。問題が解決しない場合は MinKNOW log files MinKNOWログファイルを収集し 、テクニカルサポートにご連絡ください。他のシークエンシングデバイスをお持ちでない場合は、 フローセルとロードしたライブラリーを4℃で保管することをお勧めします。詳細な保管方法については、テクニカルサポートにお問い合わせください。

ポア占有率が40%未満

問題点 予想される原因 解決策とコメント
ポアの占有率が40%以下 フローセルに十分なライブラリーがロードされていなかった。 シークエンシングライブラリーを正確に濃度測定し、適切な容量がフローセルにロードされていることを確認してください(詳しくはそれぞれのプロトコールをご覧ください)。 ロードする前にライブラリーを定量し、 Promega Biomath Calculatorなどのツールを使用してfmolを計算してください。[dsDNA: µ g to fmol]を選択してください。
ポア占有率が0に近い Ligation Sequencing Kitを使用したが、シークエンシングアダプターはDNAにライゲーションしなかった。 シークエンシングアダプターのライゲーションステップでは、必ずNEBNext Quick Ligation Module(E6056)とOxford Nanopore Technologies Ligation Buffer(LNB、シークエンスキットに付属されています。)を使用し、各試薬の量を適切に使用してください。サードパーティ試薬の完全性をテストするために、Lambdaのコントロールライブラリーを調製することもできます。
ポア占有率が0に近い シークエンシングアダプターライゲーション後の洗浄工程で、LFBまたはSFBの代わりにエタノールを使用してしまった。 エタノールはシークエンシングアダプター上のモータータンパク質を変性させる可能性があります。シークエンシングアダプターのライゲーション後にLFBまたはSFBバッファーを使用したことを確認して下さい。
ポア占有率が0に近い フローセルにテザーがない テザーはフローセルのプライミング時に追加されます(キット9、10、11はFLTチューブ、キット14はFTUを使用。ウルトラロングのDNAキットにはFTUを使用。) プライミングの前に、FLT/FCT/FTUがバッファー(キット9、10、11はFB、キット14はFCF)に添加されていることを確認してください。

予想より短いリード長

問題点 予想される原因 解決策とコメント
予想より短いリード長 DNAサンプルの不要な断片化 読み取り長はサンプルDNA断片の長さを反映します。サンプルDNAは、抽出およびライブラリー調製中の操作で断片化した可能性があります。

1. 抽出の最適な方法については、Extraction Methods の抽出方法を参照してください。

2. ライブラリー調製に進む前に、アガロースゲル電気泳動で、サンプルDNAのフラグメント長の分布を確認してください。 DNA gel2 上の画像では、サンプル1は高分子量ですが、サンプル2は断片化されています。

3. ライブラリー調製中は、試薬を混合するためのピペッティングやボルテックス操作は、プロトコルで指示がないかぎり行わないでください。

利用できないポアの割合が多い場合

問題点 予想される原因 解決策とコメント
利用できないポアの割合が大きい(チャンネルパネルとポアのアクティブポートで青く表示されています)

image2022-3-25 10-43-25 上のアクティブなポアの図は、時間の経過とともに「利用できない」ポアの割合が増加していることを示しています。
サンプル内に不純物が含まれている 一部のポアに吸着する不純物は、MinKNOWに組み込まれたポアのブロック解除機能によって、ポアから除去することができます。 このステップが完了すると、ポアの状態が「sequencing pore」に戻ります。利用できないポアの部分が多いか、増加した場合:

1.Flow Cell Wash Kit nuclease flush using the Flow Cell Wash Kit (EXP-WSH004) を用いて、ヌクレアーゼ洗浄を 行うことができます。又は
2. PCRを数サイクル実行してサンプルDNAの量を増やし、サンプルDNAに含まれる問題の不純物が相対的に減る(希釈される)ようにします。

Inactiveのポアの割合が高い

問題点 予想される原因 解決策とコメント
利用できない(inactive/unavailable)ポアの割合が高い(チャネルパネルとポアアクティブポートでは水色で表示されています)ポアまたは膜に損傷が起きてしまった。 気泡がフローセルに混入した。 フローセルのプライミングやライブラリーのロードで気泡が入ると、ポアに不可逆的なダメージを与える可能性があります。 推奨の操作方法については、Priming and loading your flow cell のビデオをご覧ください。
利用できないポアの割合が多い場合 サンプルDNAに含まれる不純物 既知の化合物問題で、サンプルDNAに多糖類が含まれた事で、植物のゲノムDNAと結合しポアをブロックした。

1. 植物葉DNA抽出法 Plant leaf DNA extraction methodをご参照ください。
2. QIAGEN PowerClean Pro キットを使用してクリーンアップして下さい。
3. QIAGEN REPLI-g kit.キットを使用して、元のgDNAサンプルで全ゲノム増幅を実行します。
利用できないポアの割合が多い場合 サンプル内に不純物が含まれている 不純物の影響は、 Contaminants の ノウハウを参照して下さい。 サンプルDNAに不純物を残留させないために別の抽出方法をお試しください。

温度変動

問題点 予想される原因 解決策とコメント
温度変動 フローセルとデバイスの接続が途切れている。 フローセルの背面にある金属プレートを覆っているヒートパッドがあることを確認してください。 フローセルを再度挿入し、コネクターピンがデバイスにしっかりと接触していることを確認するために軽く押してください。問題が解決しない場合は、テクニカルサービスにご連絡してください。

目標温度に到達しない場合

問題点 予想される原因 解決策とコメント
MinKNOWが "Failed to reach target temperature "(目標温度に達しなかった)と表示する。" 装置が通常の室温より低い場所、または風通しの悪い場所(排気が出来ない場所)に置かれた時にフローセルが過熱してします。 MinKNOWでは、フローセルが目標温度に到達するまでの既定の時間枠があります。時間枠を超えると、エラーメッセージが表示され、シークエンシング実験が続行されます。しかし、不適切な温度でシークエンスを行うと、スループットが低下し、qスコアが低下する可能性があります。シークエンシングデバイスが風通しの良い室温に置かれていることを確認して、MinKNOW再スタートしてください。MinION Mk 1Bの温度制御の詳細については、FAQ を参照してください。

Last updated: 12/13/2024

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